イタリアの教育
平成13年度教職員海外短期派遣(長野県団 第201団)
視察報告
中学校を訪問して
Scuola media stata1e "GiovanniCena" 「ジョヴァンニ シエイナ」中学校 @概 要 学年数 3, 学級数 27、 生徒数 625名 職員数 76名、 専任教員数 63名(男性16名、女性47名) 学年度 9月13日〜6月9日(2001年度) その後、1ヶ月間修了試験の期間がある。 登校日数 200日、 週あたり 6日登校 一日あたり授業時間数 5時間 午後は別に専門コースや選択教科あり(週3日) 学校の役割を「将来,社会生活に役立つ基礎教育」とし,音楽教育を特色にして「知識」に重点をおいて教育している。 3年制(11〜14歳)で1学年9クラス。 入学時に選択したコース別のクラスになっている。 コースは外国語(英語とフランス語)・コンピュータ・音楽・環境が各2クラス,普通科が1クラス。 8時15分〜1時30分の5時間授業が共通で。 専門(コース)や選択教科(陶芸やスポーツなど)の授業は,午後の授業(2時〜5時30分)で週3日行われる。音楽は,個人レッスン。 学級担任制はなく,ホームルームなど教科以外の活動はない。 |
歓迎の音楽演奏 |
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中学校の教科学習時間
ハンディキャップをもつ16人の生徒も普通学級の一員として同じ教室で学校生活を送り,そのために7人の教師が加配されている。 |
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玄関には日本、イタリア、EUの国旗で歓迎 |
午後の選択教科「セラミック」 |
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A参観から 廊下に置かれた机でman-to-manで分数の学習をしていた。担当教師の空き時間に理解の十分でない生徒を対象に個人授業が行なわれている。教室では,すぐ指導できるよう教卓の横にl〜2名の机を配置。この席に座るのはいっも違う生徒で,直接教えてもらうことを誇りに思っているという。こうした指導は随時行われているとのことだった。 3年生の「イタリア語」の授業では,1700年代の歴史書から,新しい発想が次の時代にどう生きたかの概念マップを作っていた。教師の投げかけた質問に答える形で進めていた。一人の発言から,分かる子が次々に発言していく授業は,2年生の授業でも見られた。イタリア語の授業で3年生が作成したラティーナ開拓の歴史を綴ったビデオを視聴。自分達で資料を集め,文章を考え構成したもので,『総合的な学習の時間』と共通しているものを感じた。 午後は選択の授業。セラミック・コンピュータ・音楽の個人レッスンなどが,専門の教師のもとで行われ,一人一人が自分の課題やこだわりをもって取り組んでいた。指導は,一人一人に対して適切で丁寧になされていた。「どうしてこの楽器を選んだのか」の問いに「音色が好き。練習していて楽しい。」との答え。自分で決め,白分が学習するなかで個が確立していく姿があった。 |
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B懇談内容 ・中学として『知識(知ること)』を目標としている。 ・不登校の問題はほとんどない。起こった場合は,週3回カウンセリング専門家が来校し,生徒と両親へのカウンセリングを行う。 ・週に一回両親と教師との懇談会があり,年に3回全員が個人面談を行う。個々への連絡表によっての呼び出しや,問題によっては(おもに経済面)教師が家庭を訪問する。 ・教師が休みのときは,代理の先生が外から来る。(市で何人か自由に動ける教師を確保) ・家庭学習は,イタリア語の読み・暗唱などを中心に,1日2〜3時間行われている。 C訪問の感想 生徒一人一人が自分の目的をはっきりともち自立した学習をしている。参観したのは『理論』を学ぶ教師主導の授業ではあったが,生徒が我先に発言する姿に圧倒された。歓迎の言葉や説明なども相手を見て話す態度が身についており,どの子も即座に応じてきた。試験なども口述が中心で,自分の意思や考えを相手に伝えることや自己表現力の育成が教育全般において位置付いていることを強く感じた。 また,生徒達の活動や先生方の言葉の端々から,自分の地域や学校を愛し,大きな誇りと自負をもっている姿が伺えた。 |
選択教科の音楽(個人指導) |
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