イタリアの教育
平成13年度教職員海外短期派遣(長野県団 第201団)
視察報告
ラティーナ県教育委員会訪問
10月8日(月)9:30ラティーナ県教育委員会を訪問。この日も天気がよく、スーツの下から汗が滲む。多少早めに到着したので入り口前で記念写真。二階の会議場に案内され、教育長の歓迎の言葉に続き、小川団長より訪問の挨拶をする。我々が持ち寄った日本からのおみやげを差し上げた。日本の文化に関心が高く大変喜んでもらえた。セレモニーが終わったところで本題に入る。教育長、補佐のカネーラ女史の二人が私たちの質問に十五分の休憩を挟んで約二時間半立ちっばなしで応じてくださった。誠実な対応に私たちの質問も熱が入った。 教育長の挨拶 1997年に日本から視察団が訪れてから久しぶりの訪問に歓迎をしたい。私も日本を訪れてみたいがなかなか難しい。「無知は知識の敵で知識のないことは友情を害してしまう」イタリアは今教育のシステムが大きく変わろうとしている。学校の独自性についても、変化してきている。教育委員会からいろいろな指示は出すが、教育は学校独自の自由な考え方が大事である。 私たちの主な質問に対しての返答 @現在貴国が直面している教育における課題は何か。それらの課題に対してどのように取り組んでいるか。 *小・中・高5・3・5を小中・高7・5として小中高の年数を1年削減する方向で、改革する予定だったが政治情勢が変わり昨日の国民投票で否決された。今回の改革は行われなかったが、学校に自主性を与える改革はどんどん進んできている。 *1992年に幼稚園の改革はあったがそれ以外は1925年以来行われていない。1997年に法律によって実験的なプログラムができるようになったがそれぞれがバラバラなのでもっとまとめていく方向で改革を進めている。 A教育委員会の役割はどんなものか *昨日の投票で12月31日以後、国の権限を地方に移すようになり、国から州に権限が委譲され州の教育委員会も管理というより援助するという方向に変わっていく。 |
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B学校家庭地域の連携についてはどうなっているか。 *個々の生徒については年に3回親との個人面談が行われている。問題があった場合には必要に応じて個別の面談も別に行う。 *学校の運営については評議会制度というのがあり中学校以上ではPTA数人生徒2人教師2人事務2人の構成メンバーで学校のカリキュラム予算などを提示して賛同を得ることが必要である。 C授業形態はどのようになっているか。 *1クラス28名がリミットになっているが、23〜25名ぐらいが一番多いと思う。2クラスについて担任が3〜4名が就くことになっている。 ただし、ハンデキャップを持った生徒が入級した場合は、その生徒一人につき1人の先生がつき学級の生徒数も減らすことになっており、最低は20名までである。イタリアでは特殊学校というものは存在せず、一般の生徒と同じクラスで学習するというのが前提になっている。 D不登校というのが日本では問題になっているが。イタリアの状況はどうか。 *シチリア、ナポリといった南部の方では8%ぐらい全体では0.8%ぐらいの不登校がいると思われる。 E卒業試験があるようでだが、それはそんな風にしてどの程度の率で不合格になっていくのか。 *基本的には毎年進級試験がある。小学校は学校内の先生が試験をして評価をするが、中学以上では卒業試験は外部の校長先生を招嘱して試験を行う。中学校で卒業できない割合は8〜12%ぐらいある。高校では卒業は96%ぐらいでき、90%ぐらい大学の進学手続きをとる。しかし、卒業するのは40%ぐらいぐらいである。大学は基本的に無試験なので手続きさえすれば進学はできるが籍を置くだけでやめていってしまう学生が多い。 F教員の採用についてはどうなっているか。 *年間7万人くらい採用している。登録者リストに載るための試験<非常勤講師>本採用の試験<国が行う>2種類ある。初任給は小学校が年200万リラ(日本円でおよそ12万円)中学校が230万リラ程度で国と組合との交渉で決まる。初任者研修は年間40日実施されることになっている。 |
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