イタリアの教育
平成13年度教職員海外短期派遣(長野県団 第201団)
視察報告
商業高校を訪問して
I.T.C. SALVEMINI(サルヴェミニ商業高校) 1.学校概要 商業の専門高等学校で、5年制(前期の2年間は義務教育年限) 全学級数は 36。 生徒数 650名(男子246名、女子404名)。 卒業先進路は、約90%が就職、約10%が大学進学である。 (就職者の内、約20%は、学校での勉強を生かして会社の経理・会計部門の仕事に就いている) 2.教育課程及び教科目編成 教科目編成の上で、商業専門学校という性格上、商業専門科目の他に、語学、数学、コンピューター教育への比重が大きい。 語学教育では、母国語であるイタリア語(前期週5時間、後期は週3時間)を中心に、2つの外国語(英語(週3時間)と、フランス語かドイツ語のいずれか−一つ(前期週4時間、後期週3時間))が設定されている。また、PET、DELFなどの語学検定の資格取得めざす特別カリクラムが、午後の選択コースにある。 4、5年生から7〜8人が選抜され、毎年フランスで、15日間の会社研修を行っている。(滞在費等の生徒の個人負担はなく、研修費用は全額、学校から支出) |
![]() Japan is center of this map. |
![]() 商業簿記の授業 |
3.授業参観 5人くらいのグループに分かれて、授業を参観した。イタリア語、歴史、経営経済学、商業実務演習、簿記などの専門科目を中心とした授業を参観した。人数は15人前後で、講義形式はなく先生と生徒との口述問答を中心に授業が進められていた。 進級、卒業試験において、筆記の他に口述試験も大きな比重を占めているということで、生徒達が積極的に発言する姿勢が印象的であった。 イタリア語及び歴史の授業では、アメリカにおける同時多発テロ事件をテーマとして取り上げていたのが印象的だった。参観当日は、アメリカ同時多発テロ事件から1ケ月ということで、イタリア政府教育省からの指示で、全校追悼集会及び大学からの講師を迎えての学習会が計画されているとのことであったが、当日のスケジュールの都合から参観できなかったのは残念であった。 |
4.教職員との懇談及び質疑応答から ・進級試験は非常に厳しく、入学時20名余のクラスが、5年生の時には10人と約半数になるということで、前期2年間は義務教育だから留年しても終了しなくてはならないが、後期に進級する時点でやめていく生徒が多いとのことであった。しかし、留年しても進級・卒業を目指すか、他の学校(職業学校)へ移るかは生徒の判断にまかせるとのことであった。高校を卒業できなかったことが、社会的なハンディーとなることはない、しかし、高校の推薦が得られないということは、就職に際しては不利である。 ・クラス担任制で、担任はクラスの出欠確認と履修科目のチェックをする。 ・学校のクラブ活動は、放課後、学校の教員が担当し、スポーツ、コンピューター関連の活動を行っているとのことであった。 |
![]() アメリカ同時多発テロ追悼全校集会 |
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